カレンダー

09 ≪│2008/10│≫ 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

プロフィール

美羽

Author:美羽
亜桜 美羽(あさくら みう)です。
ぼちぼち小説書いてます。

ここにある作品の著作権は、全て亜桜美羽にあります。無断での転載はご遠慮下さい。

この度サイトを開設しました。小説はいずれそちらへ全て移動する予定です。

エンジェリック


最近の記事&コメント


カテゴリー


最近のトラックバック


ブロとも申請フォーム


『消えた少年たち』 著/オースン・スコット・カード

 もういつから積読していたのかすら覚えていない作品です。文庫版だと上下二巻になるらしいですが、ハードカバー版がめちゃめちゃ安くて衝動買いした記憶がなくもなかったり。
 例のごとく、ネタバレの方向で……。

 連続失踪事件が起こっている街に引っ越してきたフレッチャー一家は、父親ステップと母親ディアンヌに長男スティーヴィを含めた三人の子どもがいる。そんな一家の前には様々な問題が立ちはだかってくる。ステップの職場でのいざこざをはじめ、スティーヴィが学校で担任教師から受けるいじめ、一家が属する宗教社会での対立。その上、スティーヴィには空想の友人を作る妄想癖まででてきて……。
 いろんな問題を前に時に衝突をくり返しながらも「家族」を守ろうとするステップとディアンヌ。しかしある日、ディアンヌがスティーヴィの空想の友人の名前が連続失踪事件の被害者の子どもたちと同じことに気づき……。

 前知識なしで読みはじめたこともあって、終盤(それこそ空想の友人の名前が連続失踪事件の被害者と同じであることに気づくくだり)までこの作品がそもそもどのジャンルに含まれるのかすらわかりませんでした。いや、もちろんわかる必要があるわけじゃないんですけど……。
 ひたすらフレッチャー一家の日常をめぐるエピソードが続いて、その中で葛藤したり衝突したりしながら家族の絆を強め合っていく過程はどちらかというと、ヒューマンドラマっぽいのに、その合間に空想の友人だったり大量発生する虫だったり妙な性癖のある青年だったりと、思わせぶりな要素が組み込まれている。ある意味うまく餌(?)をばら撒いている感じなんでしょうか。
 で、終盤空想の友人たちのくだりを過ぎたあたりから、ばら撒かれていたアレやコレの要素が実は伏線だったことに気づいて、失踪事件の謎が解けるミステリ的展開になっていく、と。

 空想の友人と聞くとなぜか多重人格的な流れをイメージしてしまう私は、きれいに騙された感じがして、終盤は「えぇっ?」の連続でした。特にスティーヴィーが実は○○だったと気づいたときの、何とも言えない感じ。ただ「空想の友人」が見えてしまったというだけで、スティーヴィが負うことになったものを想像すると、何とも胸がうたれます。
 確かにそこに至るまでのボリュームは半端じゃないし、そこでこれっぽっちも辟易しなかったかと言うと、そうでもないですが、それでも読後感は良かったです。
 個人的に印象に残ってるシーンは、ステップがスティーヴィの担任教師と対立するくだりかな。人間の怖さをひしひしと感じました。
 あとは、ロードランナー(笑)ロードランナーって、敵を穴に埋めながら金塊を集めまわるアレですよね。むかしむかーしに母親がやってた記憶があって、一人でおおはしゃぎしましたとも。
『スカイシティの秘密』 著/ジェイ・エイモリー

 もう単純に「スカイシティ」という単語に惹かれて購入した本。
 地上での大災害の結果、生存者たちは空にそびえ立つ巨大な柱の上にいくつもの都市(スカイシティ)を建設し、人々はそこで暮らすうちに進化して、天使のように翼をもち、空が飛べるようになっていた。そんな天空人(エアボーン)に対し、スカイシティには移住せずに地上での生活を続けることを選んだ、地上人(グラウンドリング)はすでに滅亡し、地上では彼らにかわって機械がスカイシティのための物資を輸送し続けていると信じられていた。
 そんなある日地上からの物資の輸送がストップし、その原因の調査に地上に送られることになったのは、エアボーンに生まれながら生まれつき翼を持たない少年アズだった。

 SFやファンタジーというよりは、児童文学風味の冒険活劇といった感じで、さくさくと読めました。大災害後の世界、厚い雲に覆われた地上世界、石炭などの化石燃料を資源とする生活、荒地を走る装甲車、災害後に進化した生物……。何とも懐かしさのある世界設定の時点で個人的には大満足だったりします。
 地上からの物資に依存しつつもグラウンドリングはすで全滅したと信じ込んでるエアボーンと、そんなエアボーンにせっせと物資を供給し続けているにも関わらず、その姿を見たこともなければ、当然感謝されることもないグラウンドリング。だからこそ一部のグラウンドリングはエアボーンたちに戦いを挑もうとする。このニ種族(?)の関係が非常に心に残っています。

 ただ一つ気になったのは、エアボーンの「翼が生えている」という設定がやや幻想的なもので終わってるような気がすること。エアボーンの名前にミカエルとかガブリエルが出てくる時点で、天使をイメージさせるんですが、読み終わってもやはりただの幻想的な存在でしかなかったかなあ、と。
 まあこのへんは続編に絡んでくる設定なのかもしれませんが。何にしろ、続きが出たら読んでみたいです。

 あと、どうでもいいことですが、マジポンが気になったのは私だけでしょうか(笑)
『ずっとお城で暮らしてる』 著/シャーリイ・ジャクスン

 タイトルと帯に惹かれて衝動買いしたもの。
 何というか、読んでいると精神が病んでいる気分をそこはかとなく味わえてしまえる(?)作品でした。

 あらすじをひとことでまとめてしまうなら、六年前に家族が惨殺された屋敷で閉鎖的な生活を続ける少女たちが、あることをきっかけにますます閉鎖的になっていくという何とも救いようのない話。
 ストーリー的にはそれほど大きな起伏があるわけではなく、むしろ淡々と進んでいく感じなので、退屈な人は思いっきり退屈だろうなって気がしなくもないです。一応ホラーに分類される割にはわかりやすい形で恐怖を演出してくれるわけでもないし。
 それよりはそこはかとなく漂ってくる狂気に、一人勝手にあれこれ想像を膨らまして悶えようぜぃ(違)って作品のような気がします。

 個人的には語り手であるメリキャットの病的ぶりに燃えました。空想に入り浸ることで辛い現実から目を背けるって言ってしまうとそれまでですけど、ギリギリのところで均衡を保とうとしている(……ん? あれは保ててないのか?)不安定さはどうしても惹かれてしまうんですよね。後に待っているものが破滅でしかないと思えば思うほど。
『14f症候群』 著/壁井ユカコ

 野生時代2月号に掲載されていた短編なので読んだの自体は結構前なんですけど、せっかくなので感想を書いてみる。と言っても長さが長さなので、たいした感想になりませんが。まあ、たまにはありってことで。

 ティーンの恋特集ということで(?)、中学生の女の子が朝起きたら○○になってました……と設定自体は決して珍しくもないお話。ですがですがですが! この恋にきゅんきゅんしている甘さ全開の雰囲気は、癖になる人はとことん癖になるんじゃないでしょうか。ちなみに私はニタニタ度全開でしたが。いや、本当に外で読まなくて良かった(笑)
 それにしても壁井さんは、「恋愛感情に自覚のなかった登場人物がそれに気づく瞬間」……みたいな感情の微妙な機微を描くのが上手い! これは本当に見習いたいもんです。
『アヒルと鴨のコインロッカー』 著/伊坂幸太郎

 引越し前に衝動買いした作品。
 本屋大賞の受賞などでここ最近人気の作家さんなんですが、途中までやや読みにくさを感じて思わず「むむ……」と唸ってしまった作品だったりします(その前に読んだ『チャイルド』はそうでもなかったんだけどなぁ orz)。
 ともあれ、中盤の過去の事件の全容が見え出したあたりから徐々に引き込まれて、最後まで一気に読み終えることができました。

 簡単にあらすじを紹介すると、主人公が引越し先のアパートで出会った青年に、「隣りの隣りに住んでいる外国人のために広辞苑を手に入れてやりたい。だから、一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけられて……という、一見するとコメディか? と思えなくもないお話です。
 始まりがそんな感じだからか、序盤はどことなく軽くて淡々とした感じで(読みづらく感じた原因はここにあるのかも?)話が進んでいくんですけど、中盤あたりから徐々にシリアスになっていきます。
 現在のエピソードと過去のエピソードが交互に語られていく中、過去のエピソードにしか登場してこない外国人ドルジの恋人。HIVに感染していたらしい青年。そしてそんな三人が遭遇したペット殺し事件とそれがもたらした悲劇の全容。
 バラバラに散りばめられていた謎が綺麗につながっていく心地よさはもちろん、読み終えたあとに残る何ともいえない切なさが非常に私好みの作品でした。

 あと個人的に印象に残っているのが、とある人物が口にする因果応報の意味。善いことをした人には善いことが返ってくるし、悪いことをした人には悪いことが返ってくる。そう口にしていた人物は、ラストで普通なら裁かれるべき罪を犯していたことが判明するんですけど、まわりの登場人物たちは誰も自首を強制しないんですよね。
 なのに、最終的にはひどく皮肉な方法で因果応報を受けている。……まあ、その結末を感動的と捉えるか皮肉と捉えるかは、きっと人それぞれなんでしょうけど(ちなみに私はひねくれているのか、後者でした orz)。

 | BLOG TOP |  NEXT»»